わかりやすい地質百科

大山火山灰

大山火山(1729m)は鳥取県の西部に位置し、東西約35km、南北約30kmの第四紀複成火山(休止期を挟んで噴火活動が繰り返された結果生じた火山のこと)です。約100万年ほど前から噴火活動をはじめ、約2万年ほど前に最後の活動があり、それ以降の噴火活動を示すものは今のところ確認されてはいません。

大山火山灰は表-1に示すように大山の噴火によって順序よく降下堆積しており、大山周辺では数mもの厚さで分布しますが、県下東部では1mから数十cm位となっています。中でも約5万年前に噴出した大山倉吉軽石層(DKPと略称しています)は鳥取県下だけではなく、北陸、信州、北関東の各地で見出されており、地層の時代を決定するのに重要となる広域テフラ(ギリシア語で灰の意味で、火山灰のことを示す学術語)として広く知られています。

表-1 大山火山灰の層序
上部火山灰層
MsP
弥山軽石
Uh
上のホーキ火山灰層
Od
オドリ火山砂層
Sh
下のホーキ火山灰層
AT
姶良Tn(2.1~2.5万年前)
中部火山灰層
NT
偽ホーキ
DKP
大山倉吉軽石(4.5万年前)
HoF
堀火砕流
DSP
大山関金軽石
下部火山灰層
DNP
大山生竹軽石
DAP
大山荒田軽石
Aso-4
阿蘇-4(7万年前)
K3
木次軽石(8万年前)
NwF
名和火砕流(10万年前)
DMP
松江軽石(12万年前)
最下部火山灰層
HdP
樋谷軽石層(13~15万年前)等
大山凝灰角礫岩、蒜山原層

火山灰は普通の土に比べると、単位当たりの重さが軽く、水分が多く、土粒子が壊れやすいことを特徴としています。このため、土木工事においてはダンプトラックが走れなくなるほど問題の多い土とされています。しかし、その分布厚はあまり厚くないことからこれまでは問題とされることは少なかったのですが、大山の西側に建設された鳥取県フラワーパークの工事では、火山灰が厚く出現したためセメント等を加えて改良し、捨土をしない方法によって大山火山灰を利用しました。また、大山火山灰は水持ちがよいことから園芸用の土として利用されたり、梨園をはじめとする果樹栽培にも適しています。甲子園のグランドの黒土は、大山火山灰最上位層の黒ぼくという土が用いられていることもよく知られているところです。

大山の中部~下部火山灰層写真中央の黄色部がDKP、その下がDNP。両側の褐色部は最下部火山灰層。

大山の上部~中部火山灰層写真最上部は黒ぼく、クラック帯の下に横筋の見えるのがUh、その下がOd、その下の横筋のあるのがSh、その下がAT、そして黄色部のDKPとなる(ポールの下端部)

「株式会社ウェスコ 伊藤 徹」

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鍵層(けんそう)

一般的には「かぎそう」といいます。

地質調査において、互いに離れた2つの地域に認められる地層の新旧を決める作業を「地層の対比」といい、この地層の対比や区分をする際に一つの基準となるのが「鍵層」です。鍵層には通常、火山灰(テフラ)の層・石灰岩の層・石炭の層・化石を含んだ層などが用いられます。しかしながら、どのような地層が鍵層として有効であるかについては、問題とする地域の広さや地質によって異なるため、一概にいうことはできません。

火山灰の層で地表の対比を行う解説図
例 火山灰
別々の火山から噴出した火山灰の性質はその火山ごとに異なっています。ところが、同じ火山の火山灰であっても噴火の時期が異なると、その火山灰に含まれる鉱物や粒の大きさなどに多少なりとも違いが生じているのが普通です。これにより、互いに離れた地域の火山灰の性質についても、容易にそれらが同じであるか否かを決めることが可能となります。この性質のために、火山灰の層は鍵層としてしばしば地層の対比に利用されています。

以上を簡単にまとめると、鍵層は次に示すような条件を備えた地層であるということができます。

  1. 広い範囲にわたって同じ時期に堆積したもの
  2. 鉱物組成や化学成分などが上下を含めた他の地層とはっきり区別できるもの

地質調査において、鍵層の利用はその地域の層の積み重なり方や地質構造の解明を容易にしています。

鍵層の例(美祢の石炭層)
鍵層の例。美祢の石炭層の写真。

「東邦地下工機株式会社 田上(たうえ)貴裕」

参考文献
斎藤正徳・富田晋高(1994):基礎からよくわかる地学ⅠB,旺文社, p327.
地学団体研究会(1996):新版 地学事典,平凡社,p1443.

 

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