わかりやすい地質百科

遷急線

遷急線とは、山地斜面を尾根から見下ろしたとき、急に傾斜がきつくなる地点(遷急点)を結んだ線のことで、一般的には、斜面崩壊や浸食が発生しやすい場所とされています。


図-1 遷急線と浸食に対する斜面の安定性
出典 画でみる地形・地質の基礎知識(1983)鹿島出版社,p33

では、遷急線はどのようにしてできるのでしょうか。また、遷急線付近では、なぜ斜面崩壊や浸食が発生しやすいのでしょうか。図-2を用いて解説します。


図-2 遷急線と浸食に対する斜面の安定性
出典 画でみる地形・地質の基礎知識(1983)鹿島出版社,p77

■stage-1の形成
岩盤からなる平坦面および緩斜面が、河川により浸食されるとstage-1になります。河川が下方に浸食することを下刻と呼びます。この段階までに、下刻されなかった山頂緩斜面では、風化が進行します。風化により形成される土砂状の地層(風化層)は、谷の地形面に沿って河谷付近で最も薄く、頂部で最も厚くなります(図-2(A)のw層)。この形態が岩盤分類の基本の考え方になります。原面を下刻し谷斜面を作った境界が、地形変化点(勾配変化点)ですので、ここが遷急点となります(図-2の赤丸)。

■stage-2の形成
stage-1からさらに下刻が進むと、新たな谷を形成して、stage-2になります。この時、図-2の黄丸の遷急点とその下方斜面に風化層ができます。風化は、stage-2で形成された斜面と、既にstage-1で形成されていた風化層に作用し、山頂緩斜面で厚い風化層を形成します。

■stage-3の形成
stage-2からさらに下刻が進むと、新たな遷急点(図-2の青丸)と健岩からなる急崖を伴う谷地形を形成して、stage-3になります。岩盤地山の風化層は、河谷部で薄く、斜面上方に向かって厚くなり、山頂緩斜面で最も厚くなります。大局的には、谷部で薄く、頂部で厚くなります。

■遷急線付近では、なぜ斜面崩壊や浸食が発生しやすいのか
遷急点より下部斜面は、上部斜面より急な勾配であるため、不安定になりやすい状態にあり、豪雨などにより崩壊や地すべりが発生することがあります。崩壊や地すべりが発生すると、斜面が浸食されて、遷急点は次第に後退していくことになります。

「株式会社アトラス 福元 和孝」

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