わかりやすい地質百科
風化作用
岩石が地表にさらされてルーズな含水物質に変化する過程を風化作用といいます。
一般的に、風化作用は次の2種類に分けられます。
- 機械的に破片化する物理的(機械的)風化作用
- 変質して粘土を生成する化学的風化作用
物理的風化作用
この風化作用は主に温度変化による差別的膨張と水の凍結膨張で起こります。寒冷地や乾燥地ではよく目立ちますが、温暖湿潤地では次に述べる化学的風化作用の産物(粘土など)と重なってあまり目立ちません。この風化作用は「岩石を崩壊させる」タイプの風化であり、以下に主な原因を示します。
- 気温の変化による崩壊
- 岩石を構成する鉱物は気温が変化すると膨張または収縮します。この膨張・収縮の程度は鉱物の種類や方向によって異なるため、昼夜などの気温の変化が繰り返されると岩石の中に微小な割れ目が発生します。このようにして岩石は次第に割れ目の数と大きさを増し、やがて崩壊に至ります。
- 結氷による崩壊
- 水は氷になると体積が若干大きくなります。このため、岩石の割れ目や隙間に入った水が凍結することによって、これらが拡げられてより大きくなり、岩石は崩壊してしまいます。
- 植物による崩壊
- 地表に近い岩石の隙間にはしばしば樹木の根が入り込みます。この根が成長して大きくなると、その力によって隙間はさらに広げられるため、岩石は崩壊します。
以上の例ではいずれも岩石は細かくなるだけであって、その化学組成は変化していません。このような風化を物理的風化作用といいます。
化学的風化作用
この風化作用では、岩石は水和・炭酸化・酸化・加水分解・溶解など水を中心とした接触反応で分解され、溶け出す成分と溶け残る成分に分かれます。岩石中の化学成分には水に溶け出しやすいものと溶け出しにくいものがあり、Cl・SO4、Na・Mg・Ca、K、Si、Fe・Alの順で減少していきます。このため、溶け残る側の成分では酸化鉄と水酸化アルミニウムが富化していくことになります。また、溶け残る側の成分はその成分同士で再結合して粘土鉱物を形成します。一般に風化の進行に伴って、Alに富む種類の粘土鉱物が増えていくことが知られています。
溶け出しやすい溶け出しにくい
Cl・SO4 < Na・Mg・Ca < K < Si < Fe・Al
- 例1 カリ長石
- 花崗岩などの火成岩に含まれているカリ長石は、地表で二酸化炭素が溶け込んだ水と反応して粘土鉱物の一種であるカオリンに変化します。高温多雨な熱帯地方では、カオリンがさらに水と反応して分解され、アルミニウムの原料であるボーキサイトの主成分である水酸化アルミニウムになります。
-
2KAlSi3O8 + 2H2O + CO2
カリ長石
→
Al2Si2O5(OH)4 + K2CO3 + 4SiO2
カオリン 水により取り去られる
-
→
2Al(OH)3 + 2SiO2
水酸化アルミニウム
- 例2 石灰岩
- 石灰岩の主成分は炭酸カルシウムであり、これは二酸化炭素が溶け込んだ水と反応して炭酸水素カルシウムに変化します。このため、石灰岩地域には鍾乳洞やカルストと呼ばれる溶食地形が形成されます。
-
CaCO3 + H2O + CO2
炭酸カルシウム
⇔
Ca(HCO3)2
炭酸水素カルシウム
以上のように、化学的風化作用は主に水と二酸化炭素などの大気中の成分との反応によって行われます。この他、火山地帯では火山ガスが噴出しているため、岩石と強く反応するSO2などの成分が多く含まれています。これにより、火山地帯では岩石の風化が著しく、樹木も育たないため、殺伐とした風景となっています。
また、化学的風化のしやすさには鉱物による差が大きいため、一般に有色鉱物は風化しやすく、無色鉱物は風化しにくいことが知られています。さらに、有色鉱物および無色鉱物ともに高温で晶出する鉱物の方が風化しやすい傾向があります。火成岩では、カンラン石が最も風化しやすく、石英が最も風化しにくい鉱物として挙げられます。
化学的風化に対する抵抗度の一般的傾向
- 有色鉱物
- カンラン石-輝石-角閃石-黒雲母-白雲母
- 無色鉱物
- 灰長石-曹長石-カリ長石-石英
小さい------------大きい
なお、物理的風化作用と化学的風化作用はそれぞれが単独で進行することは少なく、両作用が相互に絡み合いながら進んでいくのが一般的です。
「東邦地下工機株式会社 田上(たうえ) 貴裕」
<参考文献>
石田志朗(1984):理解しやすい 新地学,文英堂, p368.
斎藤正徳・富田晋高(1994):基礎からよくわかる地学ⅠB,旺文社, p327.
地学団体研究会(1996):新版 地学事典,平凡社,p1443.
このページのキーワード。関連するページはこちらからどうぞ。
キーワード一覧(地質百貨に関連するキーワードはこちらからどうぞ)