わかりやすい地質百科

土砂災害への備え~いざという時のための心構え

いざという時のための心構え
恐ろしい土砂災害を防止するために、現在さまざまな対策が行われていますが、それだけでは十分に災害を防ぐことができません。

被害を最小限に抑えるためには

  • 気象情報などに注意し、いざという場合に備えましょう。
  • お年寄りや子供がいる場合には、特に早めの避難を心掛けましょう。

雨に注意していますか?

雨の降り方に注意しておきましょう
土砂災害の多くは雨が原因で起こります。長雨や大雨で危険だと思ったら、早めに避難しましょう。1時間に20ミリ以上、または降り始めてから100ミリ以上の降雨量になったら十分な注意が必要です。

避難場所は決まっていますか?

いざという時の避難場所を決めておきましょう
普段から家族全員で避難場所や避難する道順を決めておきましょう。災害が起きる時、家族全員がいっしょにいるとは限りません。そんな時もあらかじめ避難場所を決めておけば安心です。

逃げ方を知っていますか?

土石流などからの逃げ方を学んでおきましょう
土石流は速度が早いため、流れを背にして逃げたのでは追いつかれてしまいます。土石の流れる方向に対して直角に逃げるようにしましょう。

非常持ち出し袋を常備していますか?

非常持ち出し袋を常備しておきましょう
食料、飲料水、懐中電灯、ラジオ、ローソク、マッチ、貴重品、医薬品など非常持ち出し袋を常備しておきましょう。

危険信号を発見したら
すぐに市町村役場、都道府県事務所連絡をしましょう。

実際に災害が起こったら
すぐに110番、119番通報をしましょう。

「内海建設コンサルタント株式会社 勝原建夫」

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活断層と地震

1995年の阪神淡路大震災以降、地震断層や活断層という言葉を耳にすることが多くなりました。断層とは、地殻内部に加わる応力によってひずみが大きくなって割れ目を生じ、地殻がずれ動いて生じたものです。この断層形成や活動(断層活動)によって地震が生じます。地震によってずれ動いた割れ目が地表面に現れたものを地震断層といいます。

活断層とは、ごく最近の地質時代や歴史時代に繰り返し活動した断層であって、将来も活動することが予想される断層のことをいいます。ごく最近の地質時代とは、一般には第四紀(180万年前から現在まで)とされていますが、第四紀の前半で活動を停止した断層もあるために例えば約12万年前以降などもっと短い期間に限定する場合もあります。

「[新編]日本の活断層」には、2,000以上の活断層が示されていますが、確実度の高いものからI、II、III の3ランクに区分され、活動度はある長い期間での平均変位速度の大きさによってA、B、Cの3ランクに区分されています。さらには、活断層の長さから地震規模を推定し、活断層の概略の危険度評価が行われます。

活断層はすぐに地震を引き起こすものではありませんが、活断層が過去にどのような活動を起こしたかを詳細に調べることが、危険度評価をより正確なものとすることができます。このためには断層を横切るトレンチ掘削法により、断層運動の痕跡を調査することが有効な方法とされています。

トレンチ掘削の例
トレンチ掘削例。調査中の現場写真

トレンチで確認された活断層の例
トレンチで確認された活断層の写真

「株式会社ウェスコ 伊藤 徹」

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液状化

液状化とは、地盤が地震などの急速な繰り返し載荷を受けたときに、あたかも液体のようになってしまい、支持力を失う現象のことです。従来は、飽和している緩い砂地盤で発生しやすいといわれてきましたが、1995年の兵庫県南部地震などでは、礫質土あるいは細粒分の多い土での液状化も報告されています。

その発生メカニズムは、次のように考えられています。

図 液状化のメカニズム

平常時
液状化のメカニズム。平常時の地盤の状態模式図
地震時
液状化のメカニズム。地震発生中の地盤の模式図
地震後
液状化のメカニズム。地震後の地盤の模式図
  1. 地盤が地震動を受けると、土粒子はより安定化するために体積収縮しようとします。
  2. ところが、地震時のように短時間の急速載荷の場合、砂地盤といえども土粒子間の排水が許されない状態となり、地盤の体積は一定に保たれたままとなります。そのため、体積収縮しようとする土粒子の移動は、間隙水圧の上昇に転化されます。
  3. この間隙水圧の上昇によって、土粒子間の有効応力が減少し、地盤のせん断抵抗が失われます。地震時に見られる噴砂や噴水などの現象は、液状化に起因するものと考えられています。

このような液状化現象は、構造物に多大な被害をもたらすため、事前に地盤状況を十分確認し、それに対応した設計が必要です。

兵庫県南部地震の時に六甲アイランドで見られた噴砂跡の写真

 

兵庫県南部地震(1995年1月)時に六甲アイランドで見られた噴砂跡

 

「復建調査設計株式会社 藤本 睦」

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ハザードマップ(Hazard Map)

洪水・土砂災害・津波・高潮などの自然災害による被害を予測し、万一の場合には円滑で迅速な避難ができるようにするために、避難に役立つ情報・・・例えば、災害想定区域や避難場所、避難経路や避難情報の伝達経路などを、住民にわかりやすく地図上に示したものです。災害危険箇所分布図とも言います。

代表的なものとしては土砂災害ハザードマップがあります。これは、大雨や地震などにより発生するがけ崩れなど、土砂災害の恐れがある箇所を地図上に表示したものです。

他には、洪水ハザードマップ、地震ハザードマップ、富士山ハザードマップ、火山ハザードマップなどがあります。

土砂災害危険区域マップ

危険箇所の要件

土石流危険渓流
土石流が発生する恐れのある渓流で、被害が予想される区域内に人家が5戸以上ある場合。
急傾斜地崩壊危険箇所
がけの勾配が30度以上、高さが5m以上で被害が予想される区域内に50m未満で近接している人家が5戸以上ある地区。
山腹崩壊危険地区
公用もしくは公共用施設、または2戸以上の人家に、直接被害を与える山腹崩壊が発生する恐れのある地区。

いつ災害が発生しても落ち着いて対応ができるように、平常時から備えておけば安心です。そのためには、ハザードマップを活用して日頃から家庭や地域で災害が発生した場合の避難方法について話し合っておくことがとても大切です。

災害は忘れた頃にやって来る

でも

備え在れば憂い無し

  1. 自分の住んでいる地域にはどのような災害が発生する可能性があるのかを知っておきましょう。
  2. 最寄の避難場所を確認しておきましょう。
  3. 避難場所に行くのにはどのような経路があるか調べておきましょう。

(内海建設コンサルタント株式会社 勝原 建夫)

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地震予知の現状

人類は地震による被害を軽減するために、揺れに強い建物を造る努力を続け、現在では大地震に耐えられるような建物を造ることができるまでになりました。ところが近年、地震の発生が昔と比べて多くなったと言われるようになり、これに伴って地震による被害の報告もよく耳にするようになりました。また、ひとたび阪神・淡路大震災のようないわゆる大地震が発生すると、一瞬で多くの尊い人命と貴重な財産が失われてしまいます。このような理由から、地震予知の実現に対する人々の期待には大変高いものがあります。しかしながら、それは極めて困難な課題であり、結論から言うと残念ながら現在の技術レベルは実用的段階には程遠いと言わざるを得ない状況にあります。

人類は地震の発生時期を予測して被害を軽減しようと、数千年前から地震予知を試みてきました。ところが現在でも、一般には地震の発生を事前に正確に予知することは困難とされています。端的に言って「何月何日の何時に、どこでどれだけの規模の地震が発生する」といった範囲・形式での予知を、科学的な手段による根拠を提示して行うことは、少なくとも現時点では不可能です。

この地震予知がなかなか進展しない理由の一つとして、そもそも対象とする大地震の発生頻度が少ない上に、我々の経験蓄積速度が極めて遅いことが挙げられます。すなわち、多くの観察や実験から経験を蓄積し、その中から法則性を見出し、その法則に基づいて将来を予測するというのが科学の常道です。ところが、地震計による観測が開始されてからやっと100年、本格的な調査観測がなされるようになってからはまだ30年程度しか経っていません。これらの期間は大地震の1サイクルにも満たない時間であり、大地震の歪みが蓄積された数千年の時間に比べると30年は一瞬であると言えます。このように、大地震の発生前後に震源域の近傍でどのような現象が生じるのかについて、我々の知識はあまりに乏しいのが現状です。

しかしながら、それでも東海地震だけは何とか予知したいとの願望から、特別にぶっつけ本番の予知体制が執られています。現在、静岡県周辺では重点的に地震や地殻変動の観測が実施されており、これにより東海地震は世界で初めて偶然ではなく、狙って予知することができるのではないかと期待されています。

ところで、地震学者や行政が公式に認め取り組んでいるのはほとんどが地学的な地震予知です。また、一部の研究者は従来の地学的手法とは異なる観測方法を用いた地震予知を研究しています。これらの他に、地震前に広く見られると言われている種々の前兆現象を予知に用いる研究をする人もいますが、地震学者からはほとんど認められていないのが現状です。例えば、地震が発生する前に現れるとされる気象現象や生物の行動の変化などを前兆現象として捉え、地震を予知しようとする試みがあります。ただし、ほとんどが未だその妥当性やメカニズムに関して一般的に論ずることのできる段階にはありません。特に地震雲については、岩盤の破壊により電磁波が生じて雲を作るとされていますが、雲の形と地震発生との関係が全く不明で、また雲のほとんどが気象状況により発生のメカニズムが証明できるものであり、否定的見解が多数派を占めています。

現時点では地震予知の方法に決まった公式があるわけではなく、ある地域では有効な観測手法も他の地域では役に立たない場合もあります。このため、地震観測と地震変動観測を大きな2本柱とし、関連のありそうなデータはできる限り多く集めて総合的な判断を行うというのが、現在の地震予知の基本的な考え方となっています。

(東邦地下工機株式会社 山口営業所 田上(たうえ)貴祐)

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自然由来の重金属等・酸性水の問題

近年、人為的な行為に伴って引き起こされる自然由来の重金属や酸性水等による環境汚染が、クローズアップされつつあります。

自然由来の重金属等のうち、有害なため基準が設定されているものを以下の表に示します。

自然由来の有害重金属の種類と基準の表

では、自然由来の重金属等・酸性水問題とは、どのようなものなのでしょうか?

なにが問題?
もともと自然の岩盤や地層に含まれている天然の有害重金属等や酸性水が、人為的な原因(土木工事等)によって環境に出てくること。
どんなときに発生する問題か?
土木工事などにより、岩盤が細片化され、大気や水に触れるようになったとき、重金属等や酸性水の溶出が発生しやすくなる(下図参照)。例えば、トンネル工事、切土工事により発生したズリを盛土するときが問題となる。酸性水は、天然の黄鉄鉱等が酸化することで発生する。
どのような被害が出るのか?
重金属等は、一時にあまり多くの量を人体に取り込むと、健康被害を生じる。 酸性水は環境や構造物を破壊し(下写真参照)、また一部の重金属等を溶かし出す。

土木工事に伴う自然由来汚染のメカニズム概念図
左写真:酸性水を発生させる黄鉄鉱。右写真:酸性水による法面のラスと鉄筋の腐食事例

それでは、どういったところでこのような問題が多いのでしょうか? 資料や過去の経験などから、特に自然由来の重金属リスクが高い地質条件としては、以下の表に示すようなものがあげられます。

自然由来の重金属リスクが高い地質条件
地質条件 備考
鉱山・鉱脈・鉱化帯 多くは古い鉱山跡やその周辺のズリ山など
海成堆積物 海水は、一部の重金属等を環境基準値以上含んでいる(ふっ素1.5mg/L、ほう素4.6mg/L)。そのため海成堆積物には、海水起源の重金属等を多く含む傾向がある。また、黄鉄鉱も多い。
貫入岩脈・熱水脈・変質帯 岩脈や熱水脈に沿って、重金属等や黄鉄鉱が濃集するケースがある。
温泉・鉱泉 一部の温泉は、天然ミネラル分が多すぎて、飲料水の基準を超過するものがある。

そもそも重金属等は自然界に普通に存在するもので、人の体にとっても必須元素とされているものもあります。「良薬口に苦し」という諺があるように、重金属等はその摂取の程度によって、毒にもなれば薬にもなります。例えば、温泉の成分の中にはこうした重金属等がとけ込んでいるものもありますが、人はそれをうまく利用して健康維持に利用しています。一方で、それをとりすぎることにより、体調不良や病気につながることもあります。

このように、自然由来の重金属等が原因で人の健康被害を招く場合もあり、その場合はリスクや状況に応じて対策を検討する必要があります。

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秋吉台カルスト台地

西の京、山口県中央部に日本最大のカルスト台地、秋吉台があります。四季折々に雄大な景観が訪れる人々の目を楽しませてくれていることは、ご存じの通りです。

カルスト地形とは、ヨーロッバの地中海に面した国 ユーゴスラビアの北西部に石灰岩の山があるカルスト地方にちなんでいます。カルスト地形は石灰岩によってできているため、石灰岩地特有の地形をしています。

石灰岩はおもに炭酸カルシウムという成分からできています。石灰岩台地に降る雨は空気中の二酸化炭素を含み込んで弱酸性の水となります。さらに土の中を通る時に、多くの二酸化炭素を含みます。この水が、炭酸カリシウムでできている石灰岩に触れると化学反応をおこし、石灰岩を少しずつ溶かします。地表を流れた水は、石灰岩の割れ目から地下にしみ込み、溶食作用が繰り返され、永い間に凹地(ドリーネ、ウバーレ、ポリエ)や鍾乳洞を形成します。このように、石灰岩が溶けてできた凸凹のある地形や地下の洞窟をまとめて、カルスト地形と呼ばれています。

秋吉台の石灰岩は、今から3億5千年前、古生代;石炭紀から二畳紀の時代に海底に堆積したフズリナ、サンゴ、石灰藻などの生物の遺骸によってできた珊瑚礁が隆起したものだそうです。

秋吉台の石灰岩地層は、数百メートルの厚さにおよんでいます。地殻変動などでできた割れ目は溶かされ、少しずつ大きくなり、やがて水路となります。壁や天井が崩れ、さらに大きな洞窟へと発達していきます。また鍾乳石や石筍などの二次生成物が形成され鍾乳洞が生まれます。秋吉台の地下には、大小あわせて約420の洞窟が発見されています。その中の最大規模の洞窟に秋芳洞(しゅうほうどう)があります。

秋芳洞は、30万年の歳月をかけて造られたと言われています全長約10kmのうち観光ルートは、1kmほどで、特別天然記念物に指定されています。

秋吉台カルスト台地の風景
羊の群と呼ばれる石灰岩柱(カレンフェレルト)と凹地(ドリーネ)
秋吉台カルスト台地の風景写真。石灰岩柱とドリーネ

「日本地研株式会社 岩本 義則」

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鳥取砂丘

鳥取砂丘は、鳥取県の東部を北流する千代川河口を挟んで、東西15km、南北約1.5~2.0km、面積1800haにも達する海岸砂丘です。鳥取砂丘という名称は、起伏に富んだ地形や砂表面の風紋がみられるなどの雄大な景観が観光地として脚光を浴びるようになった1950年代後半に定着し、1955年に国の天然記念物に指定されました。

鳥取砂丘は広大な海岸砂丘であることと、海岸線に斜交する高さ40mに達する砂丘列が3列あり、その背後はスリバチと呼ばれる急な斜面が形成されていることが特徴です。

鳥取砂丘は大山火山灰層(大山倉吉軽石層があります)を挟んで上下の2層があり、上位は新砂丘、下位は古砂丘と呼ばれており、古砂丘は新砂丘に比べると褐色~黄色を帯びた色を呈しています。新砂丘は黒砂層と呼ばれる砂丘活動の休止期を挟んで新砂丘Ⅰ、新砂丘Ⅱと区分されており、全体に白っぽい色を呈しています。

砂丘の形成される前は、これらの地区は海岸線の入りくんだ内湾でしたが、湾口に砂州が形成され、さらに古砂丘、大山火山灰が堆積し、その後の海退期に新砂丘が発達しました。

砂丘砂は、石英と呼ばれる鉱物を中心としており、その平均粒径は、0.2~0.3㎜と小さく、かつ、ほぼ均等な粒子の大きさで構成されています。この粒子の大きさは風速が5m/s位になると活発に移動し、地表面がさざ波模様となる風紋を形成しやすい一因となっています。

近年では、飛砂防止のための植林により砂丘砂の移動が少なくなったために草地化した部分が多くなり、本来の砂丘の姿を取り戻すために植林の抜木、植物撤去工事が行なわれています。

また、砂丘地内には全国共同利用施設の鳥取大学の乾燥地研究センターがあり、乾燥地における農業的利用や諸般の研究が進められています。

鳥取砂丘の写真。砂丘の起伏と風紋起伏のある砂丘の姿。右手下に風紋が作られている。
(撮影:都宮和久)

鳥取大学乾燥地研究センターの写真鳥取大学乾燥地研究センター。実験施設のアリドドーム。
(撮影:都宮和久)

図-1 鳥取砂丘位置図
鳥取砂丘位置図

図-2 鳥取砂丘とその付近
鳥取砂丘とその付近の地形図

図-3 鳥取砂丘断面図
鳥取砂丘断面図

「株式会社ウエスコ 伊藤徹」

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大山火山灰

大山火山(1729m)は鳥取県の西部に位置し、東西約35km、南北約30kmの第四紀複成火山(休止期を挟んで噴火活動が繰り返された結果生じた火山のこと)です。約100万年ほど前から噴火活動をはじめ、約2万年ほど前に最後の活動があり、それ以降の噴火活動を示すものは今のところ確認されてはいません。

大山火山灰は表-1に示すように大山の噴火によって順序よく降下堆積しており、大山周辺では数mもの厚さで分布しますが、県下東部では1mから数十cm位となっています。中でも約5万年前に噴出した大山倉吉軽石層(DKPと略称しています)は鳥取県下だけではなく、北陸、信州、北関東の各地で見出されており、地層の時代を決定するのに重要となる広域テフラ(ギリシア語で灰の意味で、火山灰のことを示す学術語)として広く知られています。

表-1 大山火山灰の層序
上部火山灰層
MsP
弥山軽石
Uh
上のホーキ火山灰層
Od
オドリ火山砂層
Sh
下のホーキ火山灰層
AT
姶良Tn(2.1~2.5万年前)
中部火山灰層
NT
偽ホーキ
DKP
大山倉吉軽石(4.5万年前)
HoF
堀火砕流
DSP
大山関金軽石
下部火山灰層
DNP
大山生竹軽石
DAP
大山荒田軽石
Aso-4
阿蘇-4(7万年前)
K3
木次軽石(8万年前)
NwF
名和火砕流(10万年前)
DMP
松江軽石(12万年前)
最下部火山灰層
HdP
樋谷軽石層(13~15万年前)等
大山凝灰角礫岩、蒜山原層

火山灰は普通の土に比べると、単位当たりの重さが軽く、水分が多く、土粒子が壊れやすいことを特徴としています。このため、土木工事においてはダンプトラックが走れなくなるほど問題の多い土とされています。しかし、その分布厚はあまり厚くないことからこれまでは問題とされることは少なかったのですが、大山の西側に建設された鳥取県フラワーパークの工事では、火山灰が厚く出現したためセメント等を加えて改良し、捨土をしない方法によって大山火山灰を利用しました。また、大山火山灰は水持ちがよいことから園芸用の土として利用されたり、梨園をはじめとする果樹栽培にも適しています。甲子園のグランドの黒土は、大山火山灰最上位層の黒ぼくという土が用いられていることもよく知られているところです。

大山の中部~下部火山灰層写真中央の黄色部がDKP、その下がDNP。両側の褐色部は最下部火山灰層。

大山の上部~中部火山灰層写真最上部は黒ぼく、クラック帯の下に横筋の見えるのがUh、その下がOd、その下の横筋のあるのがSh、その下がAT、そして黄色部のDKPとなる(ポールの下端部)

「株式会社ウェスコ 伊藤 徹」

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風化作用

岩石が地表にさらされてルーズな含水物質に変化する過程を風化作用といいます。

一般的に、風化作用は次の2種類に分けられます。

  1. 機械的に破片化する物理的(機械的)風化作用
  2. 変質して粘土を生成する化学的風化作用

物理的風化作用

この風化作用は主に温度変化による差別的膨張と水の凍結膨張で起こります。寒冷地や乾燥地ではよく目立ちますが、温暖湿潤地では次に述べる化学的風化作用の産物(粘土など)と重なってあまり目立ちません。この風化作用は「岩石を崩壊させる」タイプの風化であり、以下に主な原因を示します。

気温の変化による崩壊
岩石を構成する鉱物は気温が変化すると膨張または収縮します。この膨張・収縮の程度は鉱物の種類や方向によって異なるため、昼夜などの気温の変化が繰り返されると岩石の中に微小な割れ目が発生します。このようにして岩石は次第に割れ目の数と大きさを増し、やがて崩壊に至ります。
結氷による崩壊
水は氷になると体積が若干大きくなります。このため、岩石の割れ目や隙間に入った水が凍結することによって、これらが拡げられてより大きくなり、岩石は崩壊してしまいます。
植物による崩壊
地表に近い岩石の隙間にはしばしば樹木の根が入り込みます。この根が成長して大きくなると、その力によって隙間はさらに広げられるため、岩石は崩壊します。
気温の変化による崩壊イメージ図結氷による崩壊、植物による崩壊イメージ図

以上の例ではいずれも岩石は細かくなるだけであって、その化学組成は変化していません。このような風化を物理的風化作用といいます。

化学的風化作用

この風化作用では、岩石は水和・炭酸化・酸化・加水分解・溶解など水を中心とした接触反応で分解され、溶け出す成分と溶け残る成分に分かれます。岩石中の化学成分には水に溶け出しやすいものと溶け出しにくいものがあり、Cl・SO4、Na・Mg・Ca、K、Si、Fe・Alの順で減少していきます。このため、溶け残る側の成分では酸化鉄と水酸化アルミニウムが富化していくことになります。また、溶け残る側の成分はその成分同士で再結合して粘土鉱物を形成します。一般に風化の進行に伴って、Alに富む種類の粘土鉱物が増えていくことが知られています。

溶け出しやすい溶け出しにくい

Cl・SO4 < Na・Mg・Ca < K < Si < Fe・Al

例1 カリ長石
花崗岩などの火成岩に含まれているカリ長石は、地表で二酸化炭素が溶け込んだ水と反応して粘土鉱物の一種であるカオリンに変化します。高温多雨な熱帯地方では、カオリンがさらに水と反応して分解され、アルミニウムの原料であるボーキサイトの主成分である水酸化アルミニウムになります。
2KAlSi3O8 + 2H2O + CO2
カリ長石
Al2Si2O5(OH)4 + K2CO3 + 4SiO2
カオリン 水により取り去られる
Al2Si2O5(OH)4 + H2O
カオリン
2Al(OH)3 + 2SiO2
水酸化アルミニウム
例2 石灰岩
石灰岩の主成分は炭酸カルシウムであり、これは二酸化炭素が溶け込んだ水と反応して炭酸水素カルシウムに変化します。このため、石灰岩地域には鍾乳洞やカルストと呼ばれる溶食地形が形成されます。
CaCO3 + H2O + CO2
炭酸カルシウム
Ca(HCO3)2
炭酸水素カルシウム

溶食地形の例。鍾乳洞の写真

以上のように、化学的風化作用は主に水と二酸化炭素などの大気中の成分との反応によって行われます。この他、火山地帯では火山ガスが噴出しているため、岩石と強く反応するSO2などの成分が多く含まれています。これにより、火山地帯では岩石の風化が著しく、樹木も育たないため、殺伐とした風景となっています。

また、化学的風化のしやすさには鉱物による差が大きいため、一般に有色鉱物は風化しやすく、無色鉱物は風化しにくいことが知られています。さらに、有色鉱物および無色鉱物ともに高温で晶出する鉱物の方が風化しやすい傾向があります。火成岩では、カンラン石が最も風化しやすく、石英が最も風化しにくい鉱物として挙げられます。

化学的風化に対する抵抗度の一般的傾向

有色鉱物
カンラン石-輝石-角閃石-黒雲母-白雲母
無色鉱物
灰長石-曹長石-カリ長石-石英
小さい------------大きい

なお、物理的風化作用と化学的風化作用はそれぞれが単独で進行することは少なく、両作用が相互に絡み合いながら進んでいくのが一般的です。

「東邦地下工機株式会社 田上(たうえ)貴裕」

参考文献
石田志朗(1984):理解しやすい 新地学,文英堂, p368.
斎藤正徳・富田晋高(1994):基礎からよくわかる地学ⅠB,旺文社, p327.
地学団体研究会(1996):新版 地学事典,平凡社,p1443.

 

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