いろいろな地質調査手法について解説します。
C.N.S元素分析装置は、分析対象試料が含有する炭素(C)・窒素(N)・硫黄(S)を定量分析する装置です。元素分析の仕組みは、燃焼法を用いて元素をガス化(CO2・N2およびSO2)させ、カラムを通して段階的に分離させ、検出器で定量化します。各元素の値は、重量パーセントとして得ることができます。原理の一例として、パーキンエルマ社製の分析装置の構成を図-1に示します。
図1 2400II元素分析装置の構成

C.N.S元素分析の目的やその利用方法としては以下のような例が挙げられます。

なお、C.N.S分析の地盤への適用に関しては、最近の地盤調査・試験法と設計・施工への適用に関するシンポジウム発表論文集(社団法人地盤工学会、地盤調査・試験法の小型・高精度化に関する研究委員会)においても、紹介されています。
((株)エイトコンサルタント 磯野陽子)
X線回折分析は、一般に堆積物に含有しているあるいは基盤岩を構成している鉱物を同定するのに利用されます。原理は、鉱物の結晶内部の原子配列周期とX線の波長とがほぼ同程度であることを利用します。X線が結晶に当ればBraggの条件(図1)で回折が起こり、この現象により鉱物結晶の3次元的な原子配列を把握することができます。結晶の原子配列は鉱物ごとに決まっているので、これより分析試料が保有している鉱物の同定が可能となります。
定方位法で得られた回折図の一例を図2に示します。分析の結果得られた図を回折図といいます。回折図中でとび出た線を回折線といって、その回折線の位置(2θCuK α=角度)から、鉱物の同定を行います。この結果分析した試料には、セリサイト・カオリン鉱物・石英・緑泥石・アルミニウム型バーミキュライトが、含有していることが明らかになりました。この含有鉱物種から分析した試料の、風化・変質状態などの把握を行います。
X線回折分析の目的やその利用方法としては以下のような例が挙げられます。
X線回折分析には定方位法と不定方位法の2つの方法があります。その特徴を以下に整理します。
用途に応じての、使いわけが必要です。
図1 X線回折の原理
図2 X線回折による鉱物鑑定の一例
((株)エイトコンサルタント 磯野陽子)
地盤は、一般的に小石・砂・粘土・水などが多様に混在する土や各種の岩石により複雑に構成されています。光以外の様々な物理現象を仲介として、間接的に地盤の中の物理的性質と状態を地表から調査する手法を「物理探査」といいます。
物理探査法は、対象とする物理量によって「弾性波探査」「電気探査」「電磁探査」「磁気探査」「重力探査」「放射能探査」「地温探査」等に区分されます。下図に電気探査比抵抗法及び弾性波探査屈折法のうち、トモグラフィー的解析を行う高密度電気探査及び高精度弾性波探査屈折法の解析結果例を示します。
| 方法 | 物理現象 | 測定項目 | 主な利用 | |
|---|---|---|---|---|
| 弾性波探査 | 屈折法 | 弾性実体波 | 弾性波速度 | 地盤構成・物性 |
| 反射法 | 弾性実体波 | 反射係数 | 地盤構成 | |
| 音波探査 | 音波 | 反射係数 | 海底地盤構成 | |
| 常時微動測定 | 地盤振動 | 卓越周期 | 地盤特性 | |
| 表面波探査 | 弾性表面波 | 伝播速度 | 浅部地盤特性・物性 | |
| 浅層反射法 | 弾性実体波 | 反射係数 | 地盤構成 | |
| 弾性波トモグラフィー | 弾性実体波 | 弾性波速度 | 詳細地盤構成・物性 | |
| 電気探査 | 比抵抗法 | 電流・電位差 | 見掛け比抵抗 | 地盤構成・地下水 |
| IP法 | 電気分極 | 周波数効果・充電率 | 熱水変質帯判別 | |
| 電位法 | 自然電位 | 電位差 | 変質帯判別 | |
| 比抵抗トモグラフィー | 電流・電位差 | 見掛け比抵抗 | 詳細地盤構成 | |
| 電磁探査 | MT法 | 電流・電位 | 見掛け比抵抗 | 深部地盤構成 |
| 地下レーダー | 電磁波 | 反射係数 | 深部地盤構成 | |
| 電磁波トモグラフィー | 電磁波 | 電磁波速度・減衰 | 詳細地盤構成 | |
| その他 | 磁気探査 | 静磁気・地磁気 | 磁気異常 | 磁性物質分布 |
| 重力探査 | 重力 | 重力異常 | 地質構造 | |
| 放射線探査 | 放射能 | 放射線強さ | 断層 | |
| 地温探査 | 地中熱 | 地中温度 | 水みち | |
| リモートセンシング | 電磁波 | スペクトル | 地質構造 |
解析結果例 高密度電気探査
解析結果例 高精度弾性波探査屈折法
「宇部興産コンサルタント株式会社 森岡 研三」
土や地盤の硬さを調べるときに、地中に鉄筋のような硬いものを打ち込むと、やわらかい地盤では簡単に入りますが、硬い地盤ではなかなか入りません。このように物体を地盤中に押し込んだり、引き抜いたり、回転させたりするときの抵抗値によって地盤の硬軟状況を調べる方法をサウンディングといいます。
N値は標準貫入試験といわれる代表的なサウンディングによって求めた値で、地盤の硬軟や締り具合を示します。標準貫入試験は、質量63.5kgのハンマーを75cmの高さから自由落下させ、サンプラーを30cm貫入させる試験です。このときの貫入に要する打撃回数(50回を限度とします)をN値といい、N=2、N=30のように表示します。
N値は土の工学的性質の概略値として知ることができるため土木・建築の分野では広く応用されており、構造物設計のための地盤の支持力や強度の評価に用いられています。たとえば、N=30以上の砂礫地盤であれば橋を支えることができると評価します。
貫入試験状況 中央がハンマー
貫入試験サンプラー
(二つ割りに開いた 状況-右端が先端)
「株式会社ウェスコ 伊藤 徹」
サウンディングは地盤調査法の一種で、やじり等のような抵抗体を地盤中にねじ込む、叩き込む、押し込むなどの方法で実際に地盤を破壊させ、その時に必要な力を測定して地盤の強弱を明らかにすることです。サウンディングには抵抗体の形や地盤の破壊方法によって表に示す多くの方法があります。
戸建住宅地での地盤調査には、費用も安く、建物荷重に必要な地盤の支持力を簡単に求めることのできる、スウェーデン式サウンディング試験が広く用いられています。特に住宅性能保証の点からも、敷地内で数点以上を実施して地盤を評価し、それに応じた建物の基礎構造を決定するのに用いられています。具体的には以下のように行います。
スウェーデン式サウンディング試験機器
自動式試験機による測定状況
| 地盤の長期許容支持力度 [kN/m2] |
建物の基礎構造 |
|---|---|
| 20未満 | 基礎杭 |
| 20以上30未満 | 基礎杭又はベタ基礎 |
| 30以上 | 基礎杭、ベタ基礎または布基礎 |
| 地盤 | 長期許容地耐力 [kN/m2] |
備考 (Nsw値) |
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|---|---|---|---|
| 砂質地盤 |
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| 粘土質地盤 |
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| 関東ローム |
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| 名称 | 貫入・ 連続性 |
測定値・ 可能深度 |
推定値 | 適用地盤 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| 標準貫入試験(SPTと略す) | 動的 ・ 不連続 |
N 調査深度の制限は基本的にない |
qu、φ、γt qa、E | 全ての地盤 玉石・砂礫では注意を要す |
一般的である ボーリング併用 JISA1219 |
| 大型貫入試験 | 動的 ・ 不連続 |
Nd 調査深度の制限は基本的にない |
N値と同様 | 全ての地盤 玉石・砂礫では注意を要す | 砂礫地盤に有効 一般的ではない |
| 簡易動的コーン貫入試験 | 動的 ・ 連続 |
Nd 3-5m |
N、qc、Nsw | 全ての地盤 玉石・砂礫では注意を要す | 急傾斜地に有効 小規模住宅基礎地盤調査でも使用している JGS1433 |
| オートマチィックラムサウンディング | 動的 ・ 連続 |
Nd 30m |
N値と同様 | 全ての地盤 玉石・砂礫では注意を要す | スウェーデンの規格 最近ではSS試験の替わりに多用されている |
| 鉄研式大型動的コーン貫入試験 | 動的・ 連続 |
Nd 15m |
N値と同様 | 全ての地盤 玉石・砂礫では注意を要す | SPTの補助に利用される |
| 鉄研式中型動的コーン貫入試験 | 動的 ・ 連続 |
Nd 10m |
N値と同様 | 全ての地盤 玉石・砂礫では注意を要す | SPTの補助に利用される |
| 土研式動的コーン貫入試験 | 動的 ・ 連続 |
Nd 1m |
N | 全ての地盤 玉石・砂礫では注意を要す | 道路路床調査に利用される |
| スウェーデン式サウンディング試験 (SS試験) | 静的 ・ 連続 |
Nsw,Wsw 15m |
N、qu | 全ての地盤 玉石・砂礫では注意を要す | SPTより作業が簡単 人力搬入可能 |
| オランダ式二重管コーン貫入試験 | 静的 ・ 連続 |
qt 15-30m |
c | 全ての地盤 玉石・砂礫では注意を要す | 周面摩擦の影響を受けない 機材の搬入を要す |
| ポータブルコーン貫入試験 | 静的 ・ 連続 |
qc 5m |
c | 柔らかい粘土地盤 | 簡易試験 迅速で簡便な器具 |
| 三成分コーン試験 | 静的 ・ 連続 |
qc 30m |
c、間隙圧u | 柔らかい粘土・砂質土地盤 | 信頼度が高い 高価な機材 |
| 電気的静的コーン貫入試験 | 静的 ・ 連続 |
qt 30m |
c、間隙圧u | 柔らかい粘土・砂質土地盤 | 信頼度が高い 高価な機材 |
| 原位置ベーンせん断試験 | 静的 ・ 不連続 |
τv 15m |
非排水せん断強さc | 柔らかい粘土地盤 | 地盤の強度が直接測定できる |
| 孔内水平載荷試験 | 静的 ・ 不連続 |
p、r 調査深度の制限は基本的にない |
変形係数,非排水せん断強さ | 孔壁の自立するあらゆる地盤 | 推定値の力学的意味が明瞭である ボーリング併用 |
地盤工学会:地盤調査法1995に加筆
「株式会社ウエスコ 伊藤徹」
ボーリング孔を利用して孔壁周辺の地層の物理的性質を調べる原位置試験のことです。ボーリング調査では地層から試料を採取して直接的に色、岩質、硬軟、割れ目の程度を調査するのに対し、物理検層では、地層の物理的性質のうち、電気的性質、速度伝播性、放射能強度、温度特性等を捉え、間接的に地層の状況を明らかに使用とする調査法です。これらの種類を表に示します。
物理検層は多くの場合、ボーリング孔内に降下する検知器部分、地表で測定記録する器械の部分、これらを結ぶ電線・ケーブル部分とから構成されます。
| 調査法 | 求まる物性値 | 利用方法 | 適応地質 |
|---|---|---|---|
| PS検層 (速度検層) |
P波速度(Vp) 波速度(Vs) |
岩盤分類(岩級区分、土工区分) 動弾性係数の推定 耐震設計地盤定数 |
ケーシング内は不可 崩壊性地盤は塩ビパイプで保護する |
| 電気検層 (マイクロ検層) |
見かけの比抵抗値 (ρa) |
地層の区分 帯水層の判定 断層の検出 |
ケーシング内は不可 泥水でも測定可 |
| 温度検層 | 孔内温度 (水温) |
水温分布 地下水流動箇所 |
ケーシング内でも可 |
| キャリパー検層 | 掘削孔径 | 掘削孔径の変化状態 | ケーシング内は不可 |
| 密度検層 | 散乱γ線強度 | 地層の密度 | ケーシング内は散乱補正が必要 |
電気検層測定器具

電気検層・温度検層測定事例
「株式会社ウエスコ 伊藤徹」
平板載荷試験は、載荷板の荷重沈下曲線から地盤反力係数や極限支持力などの地盤の支持特性を求めることを目的とした試験方法です。平板載荷試験から求まる地盤の支持特性は基礎の設計に対して重要な資料となります。
ただし、平板載荷試験結果に影響する地盤の範囲は、深さ方向に対して載荷板の直径の1.5~2.0倍程度(直径30cmの載荷板では、深さ45cm~60cm)であり、実構造物基礎の寸法は、載荷板の寸法より大きいことが多く、その支持特性に影響する深さは、載荷試験の場合に比較して大きくなりがちです。
したがって、載荷試験の結果を基礎の設計等に利用する場合は、このような寸法の違いによる支持特性への影響を十分に考慮して行う必要があります。
平板載荷試験による測定状況

「株式会社ソイル・ブレーン 河村志朗」
地盤を調べるとき通常ボーリングが行われますが、より簡便に調べる方法がいくつかあります。その代表的なものがコーン貫入試験です。これは円錐状いわゆるコーン状に先端が尖った棒を地中に押し込むもので、大きな押込み力が必要な場合は固い地盤で、小さな押込み力で貫入する場合は軟らかい地盤であるということが容易に想像できます。
地盤への貫入の仕方に、油圧や手動で徐々に貫入させる場合(静的貫入)と打撃により貫入させる場合(動的貫入)があります。
三成分コーン貫入試験というのは、この静的貫入によるコーン貫入試験のうちで比較的最近開発されたものです。従来のコーン貫入試験は、コーンの貫入に必要な力だけを測定していたのですが、それでは、地盤が砂なのか粘土なのかが分かりません。そこで、三成分コーンでは次の三つの成分をして、地盤の土質を始め強度などを推定するものです。
三成分コーン貫入試験の特徴を整理すると次のようになります。

長所
短所
このような特徴を生かし次のような活用がなされています。いずれも、ボーリングのみの調査に比べて大幅なコスト縮減に結びつけることが可能となります。
(基礎地盤コンサルタンツ株式会社 岩崎公俊)
ボアホールカメラは、主としてボーリング孔内の状況を観察するためのカメラです。同様の孔内観測システムとして、ボアホールテレビやボアホールスキャナー、ボアホールスコープという言い方をしているものもあります。
このボアホールカメラでは、孔内観察をもとに、以下のような地質調査~解析が可能となります。
ボアホールカメラは、本体と360°展開型プローブから構成されています。
CCDカメラの下に円錐型のミラーがあり、ここに映された孔壁全周をカメラで撮影し、このデータがMO(光磁気ディスク)にディジタル記録される仕組みとなっています。
また、撮影と同時に、撮影された環状の映像は画像処理され、本体のモニタに展開画像が表示されます。このデータをパソコンにより処理することで、次に示すような解析結果を得ることができます。


「(株)エイトコンサルタント 石田泰則」
温泉調査とは、対象地域に分布する地質やその構造、および熱源などの存在を科学的方法によって詳細に調べ、温泉の有無やその開発方法(主にボーリング)を明らかにする調査のことです。
調査を行う場合、まず・熱、・水、・通り道(あるいは入れ物)の存在を考えなければなりません。温泉は特殊なものではなく、この条件を満たせば、どこにでも存在する普通の地下資源(地熱資源)です。しかし、このうちの1つでも欠けると、温かい温泉を得ることはできません。
地下を深く掘れば、場所によって程度の差はありますが、地温は次第に上昇していきます。このため、地下深部まで地下水が循環するような規模の大きな割れ目、たとえば断層や破砕帯などが主に温泉開発の対象になります。
調査では、地表に分布する地質を調べることが最も重要です。しかし、これだけでは地下深部の断層や破砕帯の様子などはわかりません。そのため、電気探査(図-1)や放射能探査(図-2)など(物理探査)を行ったり、水銀ガスや二酸化炭素などの土中ガス濃度あるいは湧水などの水質を調べたりして(地科学調査)、温泉開発の可能性を探ります。
温泉は浴用ばかりに目がいきますが、実は資源の少ない日本にあとっては重要なクリーンエネルギーの1つなのです。地熱資源は、その利用方法や技術的な面で、最も進んでいる新エネルギーでもあります。このような観点で、温泉の有効利用を進めていくことが、今後増々重要になっていくものと考えられます。
電気探査(比抵抗2次元探査)の測定風景と解析図

放射能探査(ガンマ線スペクトル法)の測定風景と解析図

「株式会社シマダ技術コンサルタント 岩田 昭夫」
ジオトモグラフィは、医学分野で成果を収めているX線CTあるいは超音波CTの原理を応用して、地盤調査法として開発されてきた方法です。これは、文字どおり地を切ってその構造を知ろうとする技術であり、1970年代から開発され、1980年代に大きく進展したものです。
本方法は、図-1に示すように、地表、ボーリング孔および調査坑などに多数の発信点と受信点を配置し、孔-孔(坑)間および孔(坑)-地表間で物理探査的手法により計測を行い、インバージョン解析により物性分布を再構成するものです。探査に用いる媒体は、弾性波、比抵抗、電磁波などが実用化されています。
いずれの場合も、解析結果で得られる2次元画像の精度は、測線・測点配置、測定機器の精度、解析方法などに左右されます。調査に際しては、事前に地質構造の概略を把握し、目的に応じた適切な測線・測点配置を計画する必要があります。
なお、図-2は、地すべり地で実施した比抵抗トモグラフィの解析結果例です。測線ごとの結果を組み合わせて、比抵抗値レベルを色分けで3次元表示したものです。
図-1 ジオトモグラフィの概念図
図-2 探査結果例(比抵抗トモグラフィ)
「復建調査設計株式会社 藤本 睦」
GISとはGeographic Information System(地理情報システム)の略で、土地に関連する色々なデータを、地図を共通のキーとして管理し、検索・分析及び出力を行う技術のことです。このGISの有効性としては、主に以下のようなことが考えられます。
この性質から、上下水道・都市計画・ 道路整備などの管理用として利用されます。又、簡 易的なものとしてカーナビなどがあります。
GISは、図形データと属性データの2つから 構成されます。図形データとは、その図形の形状・ 色・大きさなどによって、情報を表現するデータ のことです。この図形データは、属性データに 従って、複数の画層(レイヤ)に分かれて描画されます。又、描画される位置は、各レイヤとも同じ 平面直角座標系に基づいて行われるため、同じ座 標値をもつ図形データは、レイヤが異なっても同 じ位置に描画されることになります。これを概念的に 説明すると次のようになります。レイヤとは、1枚の 透明なフィルムであり、これに図形を描画します。
白地図の上に、必要な図形が描画されたフィルムを複数枚重ね、上から見ることによって、各図形の関係が地図を基にして表現され、総合的な解析が可能となります。図形データは、そのデータ形式から、ベクターモデル及びラスターモデルの2タイプに分類されます。両者それぞれ長所と短所があり、利用目的・精度及び予算によって使い分けられています。通常、属性データを持つ図形はベクターモデルを、背景図としての図形はラスターモデルが使用されます。図形データの特殊なものとして、基図があります。これは、GISにおいて中心的な役割を持つ地図データのことであり、地勢図・数値データ・都市計画図・森林基本図及び航空写真などが利用されます。
属性データとは、非空間・非図形である文字・数字データであり、図形データと関連づけられるデータのことを示します。この記憶されるデータの構造は、ひとつの属性に対して、現実に実在する物をモデル化したものです。ベクターモデルの図形は、固有のコード番号を持つことができ、これを属性データ管理テーブルで記憶することによって、両者の関連付け(リンク)を行うことができます。これによって、図形データに何らかのアクションを起こすことによって、属性情報を表示させることが可能となります。又、逆にある条件を与え、これに満足する属性情報を持つレコードを検索し、このレコードが持つコード番号からベクターモデルの図形を認識させ、色を変えて表示させることも可能となります。
複数の属性データで、同じ項目(フィールド)を持つ場合があります。この場合、両者の関係を定義することによって、相互のテーブルを一つのテーブルとして認識することができ、データの省略化及び複雑な分析が可能となります。これをリレーショナルデータベースと呼びます。近年GISが普及した理由として、ハード面の性能の向上も考えられますが、このリレーショナルデータベースが導入できるようになったところが大きいと考えられます。
「株式会社宇部セントラルコンサルタント 松井 隆澄」
地表水の流量は、流域、降水量、蒸発量や地下水との流出・流入量などによって変化します。このため、流域や降水量などが既知の場合、地表水の流量を測定することで、地下水の流出・流入量を想定することが可能となりますが、地表水の流量は降雨時の土壌の飽和度や中間流出までの時間的な速さなどの要因によっても変化します。
しかし、直接的な測定ができない地下水の流出・流入量を想定し、地質との関連を検討するために、有効な手段となります。特に、岩盤が露出し地下水への流入がほとんどない条件で長期間にわたり降雨がない場合には、地下水の流出のみ(基底流量)となり、地質と地下水量の関係を把握しやすくなります。
地質調査の観点から、地表水の流量測定を行う目的として、
といった内容が挙げられ、具体的には、
などのような適用事例が考えられます。
小規模な河川や渓流などでの地表水の流量測定方法を簡単に紹介します。
測定手法として、
が挙げられ、各々の測定方法や適用条件などについてまとめます。
| 測定方法 | 概要 | 適用条件 | 備 考 |
|---|---|---|---|
| 1.容積法 | 渓流を土嚢などにより止水しVP管などを通して流下させ流量を直接測定する。 | 直接的な測定であり精度は高い。流量が多い場合困難である。 | 簡易な方法では地表水の完全な捕捉が難しい。 |
| 2.流速計法 | 通水断面を測量により作成し、流速計により数ヶ所の流速を測定し流量を求める。 | 流量が多い場合に適する。逆に水量が少ない場合、測定が難しく精度が悪くなる。流速が通水断面内で大きく変化する条件では精度が悪くなる。 | |
| 3.堰 法 | 河川や渓流の途中に三角堰などを設置しノッチ高を測定する。 | 岩盤や玉石の分布地での堰の設置は難しい。 砂や礫などの堆積物が分布する場合、地表水が地下へ浸透しやすくなる。 | 一般に堰は常時設置するため、簡易な構造の場合、豪雨時に破損する可能性がある。 |
| 4.塩分希釈法 | 一定時間、定量の食塩水を継続的に渓流に投入し、下流側にて電気伝導度を測定し、流量を計算にて求める。 | 流量の多寡によらず比較的簡易に測定可能である。 | 食塩以外の試薬もあるが、食塩を利用することが多い。 |
以上が、主要な測定法の概要であり各方法ともいくらかの測定誤差は生じる。現地状況や目的に応じて適切な手法を選択する必要がある。
<<測定状況写真>>
▼写真1 容積法-バケツなどを利用して水量を測定する。

▼写真2 流速計法

▼写真3 堰法-三角堰を利用しノッチ高を計測する(写真では自動測定)。

▼写真4 塩分希釈法

「(株)エイトコンサルタント 石黒 靖彦」
赤外線カメラ
コンクリートの健全部と浮き部の間で生じる温度差を赤外線カメラで撮影することにより、非破壊・非接触でコンクリートの浮きを面的に検出できる技術です。
コンクリート片の落下は、そのまま事故につながる可能性があるため、この前段階である、浮き・剥離の調査は非常に重要です。
コンクリートの表面温度は、外気温の変化に追従し周期的な温度変化が生じています。浮き部は、健全部に比べて暖まりやすく、冷めやすい温度特性であるため、浮き部と健全部で温度差が生じます(日中の場合、浮き部は高温となります。図1参照)。この温度差を赤外線カメラで撮影することで浮き部を検出します。撮影には一日の温度変化の大きな晴天もしくは曇天が適しています。
図1 赤外線撮影例(橋脚部、日中)
図2 赤外線差画像法の解析例
図3 赤外線画像解析法の解析例(トンネル)
「基礎地盤コンサルタンツ株式会社 久賀 真一」
電気伝導度は電気の通りやすさを示す指標であり、溶液中に含まれるイオンが電気を運ぶ役割を担うので、これに含まれる電解質の濃度が高くなれば値は高くなります。しかし、伝導率の欠点でもあり長所でもあることは、電荷をもたない物質(ケイ酸)はいくら水に溶け込んでいても伝導率には影響しないことです。1mg/lについての伝導率は、陸水の主成分のうち、最小がHCO3-、最大がMg2+であり、同じmg/lであっても、塩類組成によって伝導率は異なります(表-1参照)。
よって、電気伝導度観測は以下の点で役立ちます。
| イオン | 当量伝導率(25度) | 1g当量 | 1mg/lについての伝導率 |
|---|---|---|---|
| Na+ | 50.1 | 23.00 | 2.18×10-3 |
| K+ | 73.5 | 39.10 | 1.88×10-3 |
| Mg2+ | 53.1 | 12.16 | 4.36×10-3 |
| Ca2+ | 59.5 | 22.00 | 2.78×10-3 |
| Cl- | 76.4 | 35.46 | 2.15×10-3 |
| SO42- | 80.0 | 48.03 | 1.67×10-3 |
| CO32- | 72.0 | 30.01 | 2.40×10-3 |
| HCO3- | 44.5 | 61.02 | 0.73×10-3 |
| NO3- | 71.4 | 62.01 | 1.15×10-3 |
p.H観測は、地下水の性質が塩基性か中性か酸性かを把握する上で重要な水質項目となります。
地下水は、地質、土壌中の二酸化炭素の影響、植物の炭酸同化作用およびバクテリアによる生物体の分解、海水の影響、人為的影響等の因子によって水の性質が変化します。
一般的に、p.Hの指標は、日本各地の観測傾向から、河川中のp.Hで6.6~7.2、浅層地下水で5.6~6.6、深層地下水で6.7~8.0を示すことが言われてます。
p.Hは次に示す種々の条件で値が左右されます。
写真-1 電気伝導度・p.H観測状況
写真-2 左:電気伝導度計:16.28mS/m
右:p.H計:6.34
図-1 平成13年度の降水量と地下水位、電気伝導度、p.Hの季節変化(Bor.No.B)
| 観測項目 | 地下水位標高(m) | 電気伝導度(mS/m) | p.H |
|---|---|---|---|
| 年最大値 | 96.44 | 20.5 | 6.9 |
| 年最小値 | 95.84 | 12.5 | 5.4 |
| 年較差 | 0.60 | 8.0 | 1.5 |
| 年平均 | 96.12 | 14.8 | 6.1 |
定期的に地下水位、電気伝導度、p.Hの一斉観測を実施し、気象条件による地下水の水質の把握および地下水の涵養・流動的機構を解明します。工事着手前は、年最大値、年最小値、平均値に関する経年変化をグラフで表し、長期的な傾向を考察します。工事中は事前に取得したデータと比較して地下水の汚染実態を評価します。
「株式会社宇部セントラルコンサルタント 植田敏史」